今井紀行   18期(昭和59年卒)   公務員   

空手道を楽しむ

  小学生の子どものサッカー大会の応援時、隣の体育館に空手衣を着た学生が出入りしていたので、ちょっと興味をそそられ覗いてみた。高校生の空手道県大会だった。会場では各高校のネームを左胸に入れた代表の選手たちが試合前のウォーミングアップを行っていた。組手の練習だ、刻み突きから中段逆突き、綺麗に拳が伸びてしかも速い。会場中央の試合場では「型」の試合を行っていた。「慈恩」だ。流石に試合会場、ぴりぴりした緊張感が漂っている。こんな雰囲気何年振りだろう。暫く試合を眺めていると、何やら体がムズムズ、また胸のあたりが熱くなってきた。「空手がしたい。」こんなにも空手がしたくなったのはおそらく生涯においてさほどなかったであろう。その後はしばらくの月日、白門祭での空手演武、地下道場、アリーナでの稽古、協会本部道場での関東大学リーグ戦な
ど学生時代のことを思い出し、悶々としていた。


 そんな折、職場の後輩が空手道3段で今も職場の空手道部で活動していることを聞いた。そうか職場にも空手道部があったのだ。翌日入部手続をとり早速稽古へ参加。空手衣は大学時代のものを引っ張り出した、胴回りがかなりきつくなっていたがどうにか着られた。稽古は社会人なので諸事都合で出席できる人数は少なく、初心者、経験者がいるメンバーの中では最年長クラスだ。準備運動から移動基本、型そして基本組手。25年ぶりの稽古。こんなに年月がたっても動きはまだ体が覚えていた。久々の稽古の後は、爽快感とともに早く次の稽古日にならないか、楽しくて、また待ち遠しかった。


 生涯で2度目の空手道の日々もこうして始まり、3年が過ぎた。今は和空会ОB会の稽古にも参加させていただき、諸先輩方のご指導をいただきながら、毎年1回行われる地元の市民大会に向けて型と組手の稽古に励んでいる。今後も体の動く限り現役で空手道を楽しみたい。

 

                                                                   平成262